ブラッシングの目的
ブラッシングの目的は食べカスでなく口の中のバイ菌(歯垢、プラーク、バイオフィルム)を取ることです。患者さんに歯垢を見せ、「これは何だと思いますか?」と質問しても、バイ菌とすぐに答えられる人はほとんどいません。
すなわち大多数の患者さんはブラッシングの目的をわからずにいたのです。しかし、知ったからといってすぐにみがけるようになるかというとそれも否です。
まずご自身の口腔内を理解していただき、つぎにライフスタイルに合せたブラッシング指導を行うことにより、適切な習慣形成ができるよう手助けすることが大事です。
ブラッシングのポイント
当クリニックのブラッシング指導のポイントは主に以下の3点です。
- 顕微鏡で細菌を実際にみてみる
位相差顕微鏡を用いて、患者さん自身の歯垢、すなわち動き回っているバイ菌を実際に見ていただきます。 - 「ながら磨き」で、時間をかけて磨く
ブラッシングには十分時間をかける必要があることから、「ながら磨き」を推奨します。これは、テレビを見ながら、読書しながら、入浴しながら等の「ながら」です。洗面所で立って磨いたのではとかく早く磨き終えようとしてしまうため、十分な時間がとれません。この「ながら」を行うためには、歯磨剤をつけないことがポイントです。しかし、「ながら」で時間をかけるのは1日のうち就寝前の1回でよく、朝、昼は歯磨剤を用い、食べカスを取るぐらいのつもりでよしとします。 - 歯の表面を舌の先でなめてみる
さらに、効果的なブラッシングのポイントは、ブラッシング前後で「歯の表面を舌の先でなめてみる」ことです。歯垢がついているとヌルヌルしています。このヌルヌルがとれるまでブラッシングを行いましょう。舌のセンサーとしての働きを増すためにも、1日のうち1回は、歯磨剤を使用しないで磨いていただいています。この舌の先の感覚を理解することが、実は最もブラッシングの向上に繋がります。